第1 事案の概要
(5) 本件学生納付金のうち,本件授業料等及び本件後援会費は,在学契約に基づき被告大学から提供される教育役務,施設利用及び身分授与等のサービスの対価である。そして,年度の開始時点である4月1日より前に在学契約が解除された原告X1については,上記サービスの提供を受けていないから,被告大学が原告X1に対して本件授業料等及び本件後援会費を返還する義務があるかどうかについては,本件不返還特約の有効性に懸かることになる。これに対して,4月1日以降に在学契約が解除された原告X2については,平成14年4月1日をもって被告大学の学生たる地位を取得し,これに伴い,被告大学は,原告X2に対し,在学契約上の義務である教育役務の提供を開始したものであるから,原告X2は,被告大学に対し,本件授業料等及び本件後援会費の返還を求めることはできない。
(6) 大学の入学試験の合格者と大学を設置運営する学校法人との間で締結される在学契約は,消費者契約法2条3項所定の消費者契約に該当し,本件不返還特約は,同法9条1号にいう「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項」(以下「違約金等条項」という。)に当たる。
(7) 4月1日より前に在学契約が解除された原告X1に関しては,在学契約の解除により被告大学に損害が発生したとは認められず,本件不返還特約のうち本件授業料等及び本件後援会費に係る部分は消費者契約法9条1号により無効であるから,被告大学は,原告X1に対し,本件授業料等及び本件後援会費相当額合計72万円及びこれに対する遅延損害金の支払義務を負う。
2 しかしながら,原審の上記判断のうち,(3),(5)及び(7)は是認することができない。その理由は,次のとおりである。なお,判断の前提となる事実は,原審の認定した事実並びに公知の事実及び裁判所に顕著な事実である。