第2 平成17年(受)第1158号上告代理人
第2 平成17年(受)第1158号上告代理人篠崎芳明ほかの上告受理申立て理由及び同第1159号上告代理人茨木茂,同小栗夏生,同原啓一郎の上告受理申立て理由について
1 原審は,上記事実関係等の下において,次のとおり判断して,原告X1の請求については,原告X1に係る本件授業料等及び本件後援会費相当額の合計72万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容すべきものとし,原告X2の請求については,全部棄却すべきものとした。
(1) 原告らが,被告大学に対して,本件学生納付金を全納し,かつ必要書類を提出し,被告大学がこれらを異議なく受領した時点で,それぞれ被告大学との間に在学契約(以下併せて「本件在学契約」という。)が成立した。
(2) 大学と在学契約を締結した入学試験の合格者は,原則としていつでも在学契約を解除することができる。入学試験合格者が在学契約成立後に入学辞退の申入れをすることは,在学契約の解除の意思表示であり,これにより在学契約は将来に向かって解消される。
(3) 在学契約の終了には,画一的あるいは明確な手続が要求されるものであり,また,入学試験の合格者本人の意思表示が最終的で確定的なものであることが確認される必要があるというべきであるから,入学辞退の申入れは,書面等による客観的で明確な方法でされなければならず,合格者本人が口頭により入学辞退の申入れをしても,大学がこれを当然に入学辞退者として取り扱うなどの特段の事情がない限り,原則として在学契約の解除の効力は生じない。
したがって,原告X1に係る本件在学契約は,原告X1が「退学願」を提出した平成14年3月13日に解除された。一方,原告X2が被告大学に対して電話により入学辞退を告げたことについては,上記特段の事情があると認められないから,これをもって在学契約解除の効力を認めることはできず,同年4月3日に被告大学に到達した「入学辞退届出」をもって,原告X2に係る本件在学契約が解除されたものというべきである。
(4) 本件学生納付金のうち,本件入学金は,入学事務手続の手数料,入学し得る地位取得の対価及び入学手続後に学生たる地位を取得する対価という性格を有する。原告らは,本件入学金の納付により,大学に入学し得る地位又は学生たる地位を取得するなどしてその対価を享受したものであるから,その後に入学を辞退してもその返還を求めることはできない。